IB証券

IB証券の情報ページを新たに作成しました。

インタラクティブ・ブローカーズ証券の紹介

東日本大震災以来、国内の多くの証券会社がオプションの売り枚数を制限している現状において、インタラクティブ・ブローカーズ証券(以下IB証券、http://www.interactivebrokers.co.jp/jp/main.php)のみは売り枚数に制限をつけないでおり、オプショントレーダーから注目されています。
とはいえ、もともとがアメリカの証券会社であり、ベースとなる言語が英語なので、とっつきにくさがあることは否めません。
そこで、青天井の管理人(PO)が知るかぎりのIB証券の情報をここにまとめておきます(TWSの情報のみ別ページ)。IB証券での取引を検討されている方の参考になれば幸いです。

(以下の内容はあくまでも管理人が個人的に把握したものであり、正確さを保証するものではありません。正確な情報が必要な方は直接IB証券にお問い合わせください。
また、記述の誤りや追加すべき情報があれば、「問い合わせ」経由でご連絡ください。よろしくお願いします。)

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〔国内口座(IBSJ)・海外口座(IBLLC) 共通〕

・45日以内に入金(国内は100万円、海外は10000ドル)しないと口座は閉じられる。
一度入金してしまえば、出金しても口座が閉じられることはないが、取引がない場合、国内・海外口座ともに口座維持費が月10ドルかかる(10ドル以上手数料を払っているなら免除。開設後3カ月間はお試し期間で免除)。
・出金手数料は月あたり、初回は無料だが、2回目以降は1600円(税抜)かかる。
・両口座間は資金移動はできない(funds transferの機能は使えない)。
・売り枚数制限なし。
・両建てはできない。
・セカンドユーザーや別ユーザーを作成し、用いることができる。
前者は口座所有者のまったくのコピー。複数のPCでログインしたいとき(同じ名前で二重ログインはできないので)や、同一のPCで複数のTWSを立ち上げたいときに使う。
後者はトレードのみで口座管理はできないなど、機能の一部を付与することができる。

〔資産保全〕

・国内口座:日本の証券会社と同じで、投資家保護基金の保護対象。
・海外口座:顧客資産はSIPC(預金保険機構と投資家保護基金)から合計50万ドル(現金は25万ドル)までの保護が受けられ、それに加えて、ロイズオブロンドンとの保険契約により3000万ドル(現金は90万ドル)の保護が受けられる。
株、オプション、ワラント、債券、現金(全ての取り扱い通貨)が上記の保護対象となる。
先物やオプションで使われる証拠金は取引所に預託されているので上記の保護適用外だが、値洗い益などの現金は瞬時に証券口座に移され、SIPCとロイズの保護対象となる。

〔国内口座(IBSJ)〕

・大証デリバティブ、東証デリバティブ、JGB、東証現物株を取引できる。
・申告分離課税。
・個別株は現物のみで、信用取引はできない。
特定口座はなく、一般口座のみ。
・東証個別株オプションはカバードコール可能(IB証券で買った現物株のみ)。裸売りはプットのみ可。
・情報料は大証200円、東証300円。翌月初めに引き落とし。

〔海外口座(IB LLC)〕

・国内口座で取引する商品以外の世界中の商品を取引できる。
円のまま入金し、両替などのプロセスなしですぐに取引できる。
・たとえばアメリカの商品をトレードした場合、円を担保にドルを借りている形になる。したがって、ポジションを持っているあいだは金利がかかる。
金利負担を避けるにはドルに換金してからトレードすればよいが、スプレッドコスト(2.5万ドル以上の両替で0.005%)がかかる。
ポジションを手じまったあとの損益はドルで口座に残る。キャッシュがマイナスの状態だと金利が発生し続けるので、ドルを買ってマイナスを解消しておいたほうがよい。
・口座内のキャッシュは寝かしておこうが証拠金として使おうが、ベース通貨の1万ドルを超える部分には金利がつく。
ただし、信用買いは逆に金利を払わなくてはいけない。また、空売りには借り株料が発生する。
・もらえる金利の額は、HP→コスト→金利・利息→For Accounts with IB LLC→Interest Paid to You→Interest Paid to You on Positive(Credit) Cash Balances。
BM:ベンチマーク(基準となる金利)のこと。左のタブの「Overview」にのっている。
Balance Cutoffs:持っている通貨の額。
Tier1未満は金利はつかない。また、Tier1と2のあいだとTier2以上では金利が異なる。

・口座の種類は、キャッシュ口座、レッグティマージン口座、ポートフォリオマージン口座、の3つ。
後者2つが信用取引に対応している。たとえば株を買った場合、自動的に、キャッシュの範囲内では現物買い、キャッシュを超える部分は信用買いになる。
・ポートフォリオマージン口座は10万ドル以上の残高が必要。ポートフォリオ全体から証拠金を算出するので、証拠金所要額を少なくすることができる。
レッグティマージン口座をポートフォリオマージン口座にすることでどのくらい証拠金を減らせるかのシミュレーションは、TWS(発注ソフト)の「口座ウインドウ」→「ポートフォリオ」→「ポートフォリオ・マージン口座のシミュレート」でできる。
両者の切り替えはアカウント・マネジメント上で手続きし、1日必要。
・現物株は証拠金の担保にできるが、現物株を担保にするための証拠金がかかる(他社にとっての「掛け目」の代わり。たとえばアメリカ株なら50%程度の掛け目になる)。

・総合課税。
・アメリカの個別株の配当は10%源泉徴収されて入金される。口座開設のときに書類(W-8BEN)を出していれば、確定申告は不要(源泉徴収分を取り戻したいなら別)。
W-8BENは3年1回、再提出をしないといけない。
・アメリカの銀行口座があればドル出金が可能(他国通貨も同様)。
・入金は海外送金扱いになる。
ネットによる入金はジャパンネット銀、新生銀、住信SBIネット銀から可能。
・国内銀行への出金は注意が必要。海外からの送金になってしまうので、多くの銀行では高い手数料を取られてしまう(管理人の例では、三菱東京UFJ銀行へ700万円の出金で手数料が5000円かかった)。

○FX関係
・スプレッドがすごく小さい。インターバンク直結で13銀行からのBEST BID/OFFERを提示。
・主要通貨のレバレッジは40倍。通貨ごとのレバレッジ率・必要証拠金率は、HP→右上の世界地図→Interactive Brokers LLC→Individuals→Trading→Margin→Forex。
・スワップ金利は HP→コスト→金利・利息→Interest and Financing→For Accounts with IB LLC→Interest Paid to You→Interest Paid to You on Positive(Credit) Cash Balances。
・口座の残高を超えて外貨を買うと、超過分の日本円を借りていることになり、円の金利がかかる。

〔手数料〕 最新の手数料の金額はHPを参照のこと

・Flat RateとCost Plusの2種類の体系がある。
・Flat Rateは売買代金の0.18%で固定。225先物は400円。
・Cost Plusはボリューム・ディスカウントあり。固定費(取引所に払う分。売買代金の0.055%)とIB証券の取り分(月1000枚まで0.12%。以下、枚数が増えると0.10%、0.08%……と下がっていく)の合計金額が手数料となる。したがって、当初の手数料は0.175%となる。
・最低手数料は、Flat Rate、Cost Plusともに1注文あたり100円+取引所に支払う分(0.055%)。
・手数料には別途消費税がかかる(「レポート管理」→「アクティビティ・ステートメント」の「その他手数料など」に表示)。
・Cost Plusでは商品によってはオーバーナイトすると維持手数料(1日あたりラージは10円、ミニは1円)がかかる(Flat Rateではいっさいかからない)。
原則として、optionsはかからないがfuture optionsはかかる(2つの違いは原資産が現物株か指数か)。
具体的には、225オプションは現物ベースなのでかからないが、225先物はかかる。東証の個別株オプションはかからないが、トピ先物、JBG先物、JGBオプションはかかる。
・SQの自動権利行使では、225オプションは通常の手数料が発生する(権利行使自体に対する手数料はない)。
米株オプションでは権利行使でも割当でも手数料はかからない。
・FXの手数料は、米ドルなら2.5ドルか0.002%か高い方。

〔証拠金〕

・委託証拠金(エントリー時に必要な証拠金):(SPAN証拠金-NOV)×1.25。
維持証拠金:(SPAN証拠金-NOV)×1.0。
ただし、厳密にはSPAN+αというべきもので、リスクシナリオを16でなく20通りで計算している。追加の4シナリオ(エクストリームモデル)は、原資産が±30%動いたとき。
・証拠金の金額は場中は動かない。ただし、オプション価格が動くと資産価値(流動性資産価値の合計欄)が動くので、リアルタイムロスカットが発動される可能性がある。
・証拠金計算はTWSの「リスクナビゲータ」でできる。ただし、先物が入ると数字が正確でなくなる。
・225オプションの証拠金の更新(原資産の更新)は1日1回、16-17時のあいだ。
原資産の変動はそれ以外の時間は証拠金には反映されない。ただし、コールを買うときに限っては、その時点での原資産価格が考慮された証拠金になる(実質上はほぼ影響なし)。
・日本市場のSPANパラメータの変更は火曜日の寄り前に行われる。

〔ロスカットルール〕

・リアルタイムで維持証拠金の計算がなされ、100%を割れると不足した分だけ建て玉が強制決済される。
決済される玉は、いちばん証拠金が回復しそうなもの(ただし絶対ではない)をロボットが選んでいく。
瞬時に発注されるが、寄り付きにかぎっては5分間の猶予がある。
・決済を後回しにしてほしい玉はあらかじめ指定しておくことができる。TWSの「口座ウインドウ」→「ポートフォリオ」→「最後に決済(liquidate last)」。
・大証のナイトセッションではロスカットシステムは使われない。

〔TWS(発注ソフト)〕

別ページを参照のこと。

〔海外オプション情報〕

・アメリカとカナダの市場では1:1のカバードコールは証拠金がかからない。その他の国は市場によって異なる。
・キャンセル料や指値変更料がかかる市場がある。
たとえばCBOEなら1回2ドルで、約定したら1枚あたり0.33ドル戻ってくる(上限1.98ドル。なので0.02ドルは戻ってこない)。
指値変更の回数による金額は市場によって違う。基本的には最後に約定してしまえば何度指値変更しても費用はかからないが、市場によってはかかる場合もある。
詳細は、IB証券のアメリカのHP→Individuals, Families and Small Businesses→Costs→Other Fees→Options。
出した注文が失効したときは手数料はかからない。
逆指値はIB証券が独自にやっているので取引所の手数料は発生しない。
・アメリカンタイプのオプションはいつでも権利行使できる。権利行使するには、TWSの「取引」→オプション行使。
売っているオプションが権利行使された場合、割り当ては翌日の市場オープンまでにメールで通知される。