第16回 定例研究会

2012/12/1(土)12:00-17:00 銀座(中小企業会館)。
参加者20人(うち話者7人)。
終了後に忘年会。

 【内容】

①変則カレンダーの損益視覚化(APM)
 様々な時期の変則カレンダーの損益を視覚化し、その特徴とエントリーのタイミングを検証。
②修正IV(MNA)
 ブラック・ショールズ式の前提条件を見直し、より現実の相場を表すIV導出方法を示した。導かれた修正IVによって描かれたスマイルカーブについて考察した。
③週末の変動性の検証(AGU)
 カバードコール・プットを建てるタイミングとして、週末をまたいでも特に有利・不利はないことを確認。直近2-3年で見るとIVが金曜日に高く水曜日にかけて低下する傾向があることを示した。
④テクニカル指標を利用した225先物とオプションの取引履歴(HTR)
 テクニカル指標を利用した225先物の取引の履歴を提示し、手法の弱点をオプションを用いることで補完できないか検討。
⑤満期直前のレシオ買い戦略(KB)
 満期直前にATMで両サイドにレシオを建て、買いや売りの枚数を変えて損益結果を検証。
⑥ローリスクのカレンダー系複合ポジション(MAC)
 カレンダー系スプレッド(カレンダー、リバースカレンダー)を組み合わせることにより、相場観に合致すればミドルリターン、合致しなくてもローリスクでローリターンが得られるポジションを紹介した。
⑦スプレッド売買のコストとリスクを減らす方法(PO)
 現実のスプレッドの売買場面において執行コストとリスク(とくに片約定のリスク)を減らす方法を考察し、実戦的ないくつかのテクニックを紹介。
⑧低IV時代のオプショントレード(PO)
 低IV時代に用いることのできる手法とトレードのコツを紹介。とくに裸売りとレシオについて、タイプごとに損益とリスクの違いをシミュレーションで示した。

 【コメント】

 開催日近くになって話者の欠員が2人でてしまい、話者の人数は7人(発表数は8つ)と少なかったが、内容は充実していた。
 とくに最初の2つの発表は秀逸。APMさんの発表は変則カレンダーの損益に影響を与えうる、見過ごされがちな要因を暴いたもので、他のメンバーの発表を独自の視点で捉えなおした点も評価される。MNAさんの発表はBS式の問題点に対する独創的なアプローチであり、みなを感心させるようなエレガントな結果を導き出すことに成功している。
 こういった発表がふたつもあれば、それだけで進行役は研究会のセッティングに労力を費やした甲斐があろうというものだ。

 今回は見学者がひさしぶりにゼロ。HPを開設して以来、多くの方が研究会を見学してくださった(そのほとんどは正式に参加してくださった)が、それもここに来て一段落した気配が感じられる。
 たぶん、関東在住でオプションの研究会に興味を持つような人は数が限られており、そのうちかなりの人はすでに我々にアプローチしてくださったのだろう。オプションプレーヤーの層の薄さを肌で感じつつある昨今である。〔PO〕

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